もちろん怪我をしないに越したことはないですが、スポーツに真剣に向き合うほど、怪我はつきものです。
私も大腿骨を骨折してリハビリをした経緯がありますが、かばい過ぎることが良くないことを痛感しました。
骨折の痛みが引いたらどんどん動かす必要がありましたが、当時はそれを知らず、かばい過ぎたあまりに必要な筋肉を失い、さらなるリハビリを負うはめになり、回復が非常に遅くなってしまいました。
この数十年でスポーツによる怪我に関する医学の見解は変わりました。
「早期運動療法」といいますが、怪我直後の激しい腫れと激痛が引いた後は、怪我をした部位を動かしたり、わずかに負荷をかけた方が、筋肉の治癒が早まり、早期回復が促され、再発リスクも減らしてくれるというものです。
フィギュアスケートのアナベル・ラングロワ選手は、冬季五輪の1年前の練習中に腓骨を骨折しました。
アナベルの主治医は手術から2週間も経たないうちに、足に体重をかけるように指示を出しましたが、
この時まだ骨は折れたままで、手術の傷も完全には塞がっていない状態でした。
この「早期運動療法」の目的は、アスリートをできるだけ早く競技に復帰させることだけではありません。
怪我をした部分を長期間かばい過ぎると、筋肉が衰えてしまい、治療プロセスに悪影響が及んでしまうのです。