怪我をしたらどれぐらい休養すればいいか?

もちろん怪我をしないに越したことはないですが、スポーツに真剣に向き合うほど、怪我はつきものです。

 

私も大腿骨を骨折してリハビリをした経緯がありますが、かばい過ぎることが良くないことを痛感しました。

 

骨折の痛みが引いたらどんどん動かす必要がありましたが、当時はそれを知らず、かばい過ぎたあまりに必要な筋肉を失い、さらなるリハビリを負うはめになり、回復が非常に遅くなってしまいました。



この数十年でスポーツによる怪我に関する医学の見解は変わりました。

「早期運動療法」といいますが、
怪我直後の激しい腫れと激痛が引いた後は、怪我をした部位を動かしたり、わずかに負荷をかけた方が、筋肉の治癒が早まり、早期回復が促され、再発リスクも減らしてくれるというものです。


フィギュアスケートのアナベル・ラングロワ選手は、冬季五輪の1年前の練習中に腓骨を骨折しました。

アナベルの主治医は手術から2週間も経たないうちに、足に体重をかけるように指示を出しましたが、

この時まだ骨は折れたままで、手術の傷も完全には塞がっていない状態でした。



この「早期運動療法」の目的は、アスリートをできるだけ早く競技に復帰させることだけではありません。

怪我をした部分を長期間かばい過ぎると、筋肉が衰えてしまい、治療プロセスに悪影響が及んでしまうのです。

カナディアンメモリアル・カイロプラクティックカレッジで講師を務めるショーン・シスルは次のように説明します。

「損傷した筋肉が負荷を与えられずに治療すると、大抵の場合その筋肉は少し収縮した状態になり、以前よりも弱く、周囲の組織よりも線維化し、硬くなってしまいます。すると、活動を再開した時に筋肉の結び付きが弱いままになってしまうのです」

 

シスルは、はじめは損傷部位を無理のない範囲で動かす程度にし、徐々に負荷を上げ、最後に機能的な活動にまで持っていくのが正しい手順だと説明します。

そして、必要以上に動かしてしまったかどうかは、痛みを目安に判断します。

 

もちろんエリートアスリートと違って、一般人には経過をしっかりと見守ってくれる主治医がいるとは限りません。

そのため、リハビリのペースを早くしすぎてしまう危険があります。

 

初期の痛みと腫れが1~2日経っても収まらない場合は、医師かスポーツ療法士に診てもらいましょう。

ただ、ちょっとひねった程度の怪我なら、腫れがある程度引いた時点でどんどん動かす「早期療法」の原則を心に留めておく価値は十分にあります。

 

動かせる範囲をできるだけ早期に完全に元通りにして、筋肉に負担をかける治療に進みましょう。


参考文献 : 草思社「良いトレーニング、無駄なトレーニング」アレックス・ハッチンソン著, 児島修訳

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